フィンランドの首相がプライベートな時間に参加したパーティーにおいて、あまりにも自由にふるまいすぎているのではないかと話題になったニュース、日本でも報道されていましたね。
個人的には、プレッシャーのかかる仕事を30代半ばでこなしながら、普通の若者と同じようにパーティーでハジけられるマリンさんのバイタリティに尊敬の念しか湧かないのですが、パーティーにおいて薬物が使われた疑惑も相まって、一部では批判の声が上がっているようです。
このニュース、ガーディアン紙でもしっかり記事になっておりまして、彼らのスタンスがどうなのかを確認がてら、ネイティブの記事から英語を学んでみました。
要約
フィンランドのマリン首相は、プライベートの時間で参加したパーティーにおけるふるまいが大きく報道されたことに関して謝罪をしたものの、自身の薬物使用は否定、またパーティーに参加すること自体には問題があると思わない、とコメントしました。
この事件を受けても彼女の支持率は低下せず、首相への支持を示すために、自ら踊ったり飲んだりする動画をSNSに投稿する女性たちが現れた一方、政治家の中には、今回の騒動に注目が集まりすぎ本来の仕事の話にならないことに不満を持つ人も散見されました。
記事では、「ある国会議員」としてインタビューを受けた人によるコメントが引用されており、「来るべき選挙においては年配の支持者とも会話をすることが大事で、首都圏を除けばフィンランドはまだ比較的保守的な国である」とし、懸念を示した模様。
割と固めのメディアということもあって、ニュートラルにいろいろな立場の人からの反応がまとめられていますね。
ちなみに記事中に出てくる、「フィンランドの女性たちが投稿したダンス動画」に関しては、BBCのMegha Mohanさんがまとめてツイートしてくれています。
タイトル解説
Under-fire Finnish PM Sanna Marin says even politicians need fun
Leader defends work ethic and describes week in which she has been forced to defend her private life as ‘quite difficult’
批判を受けるフィンランド首相サンナ・マリン述べる「政治家であっても楽しみは必要」
自身の労働倫理は弁護したうえで、私生活の擁護を強要される一週間を「きわめて難しい」と表現
記事のタイトルは、内容を簡潔に示すために省略される部分が多く、日本人的には難しいものも多いですが、今回のタイトルは特にそういったものはないので、そこまで難しくないと思います。
work ethicには、もう少しわかりやすい訳語をあてたかったですが、見つからず断念。ethicとは「倫理」をさし、プロフェッショナルとして業務にあたるうえでの倫理観、といったところですね。
動詞のdefendは、この文脈においては「擁護する、弁護する」という意味で使われています。ビジネスの会話とかでも、「〇〇さんのことを擁護すると…」みたいなことをいうときに”in defence of 〇〇…“と使うことは時折あるので、何かを議論するときには頻出の用法かと思います。
時間表現につかわれる冠詞
今回の記事で注目したのは、時間にかかわる冠詞の表現です。
Leader defends work ethic and describes week in which she has been forced to defend her private life as ‘quite difficult’
自身の労働倫理は弁護したうえで、私生活の擁護を強要される一週間を「きわめて難しい」と表現
さきほどのタイトルにあった文章ですが、desbribesのあとに”the week”でなく”week”と直接書かれています。特定できる名を指すときにはtheを付ける、というルールがあると思いますが、記事の見出しに関していると特殊な決まりがあり、冠詞を省略して書かれることも結構ありまして、それも関係しての無冠詞なのかと思います。
ちなみに、文頭のLeaderも冠詞無しで書かれていますが、それも同じルールにのっとったものです。
もう1つ引用します。
“I am human,” Marin told reporters on Wednesday at the conference of her Social Democratic party, describing the past week as “quite difficult”.
「私は人間です」とマリンは水曜日に社会民主党の会議で記者団に語り、この1週間を「かなり困難だった」と表現した。
ここに出てくる”the past week”はしっかり定冠詞のtheが付いていますね。大変だったのは騒動が出てからの1週間ということで、特定の1週間=theがつくという仕組みです。
ちなみに、Wednesdayは無冠詞のままでてきますが、曜日に関しては、どうしても「その〇曜日」と言いたい時をのぞくと、冠詞をつけないのがルールになります。
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“substance”から派生した語彙群
今回の記事でいくつか派生形が出てきたのは”substance”です。
辞書などを引くと、「物質」という訳語が出てくると思いますが、これが形容詞や副詞になると「ものごとの本質/真実」というニュアンスが出てきます。
いくつか例を引用します。
The apology came after Marin made headlines around the world last week when video emerged of her drinking and dancing exuberantly during another private party at which unsubstantiated reports claimed drugs may have been consumed.
この謝罪は、マリンが先週、別のプライベートなパーティーで酒を飲み、豪快に踊っている動画が公開され、薬物が使用された可能性があるという根拠のない報道がなされ、世界中で大きな話題となったことを受けたものである。
unsubstantiatedは「根拠のない」という意味になり、根も葉もない噂、といったことを言いたいときに使える形容詞になります。この逆はsubstantiatedになりまして、これは「根拠がある/立証された」という意味になります。論文なんかを書く時には便利な表現ですね。
substantiated by further data (さらなるデータによって立証された)
など。
The education minister, Li Andersson, from the Left Alliance said she hoped discussion would move on to “substantive issues” such as “our tasks with regard to this coming difficult winter, the energy crisis, Russia’s war of aggression, fair policies”.
左派連合のリー・アンデルソン教育相は、「これからやってくる困難な冬、エネルギー危機、ロシアの侵略戦争、公正な政策などに関する我々の任務」といった「本質的な問題」に議論が移ることを望むと述べた。
ここで出てくる「substantive issues」というのは「本質的な問題」という意味ですね。
今回の記事ではでてきませんでしたが、”substantially”というと「実質的には」という意味の副詞になりますので、これもまた重要な表現というべきでしょう。
おわりに
今回のポストのように、実際の記事で海外がどのようにニュースを報じているのかという側面と、そこから学べる英語の要素という2つの側面からまとめた記事を、これからも定期的に作っていこうと思っています。ご希望などあれば是非コメントください!
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